亮鍼灸院について伝えたいこと~医師としての視点を併せて~
経歴
2009年: 北海道大学医学部卒業。
2009~2011年: 河北総合病院内科研修終了。
2011~2018年: 埼玉医科大学にて病理研修。
2017年~:兼業として中外製薬でTransrational research divisionで非常勤勤務。
2018~現在に至る: 慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニットに勤務。現在は、病理診断にgenome profileを付加する統合病理システムを目指し慶應大学の全手術症例シーケンス研究に携わる。
亮鍼灸院について伝えたい事
~医師としての視点を併せて~
私は慶應大学に所属しているのですが、2児の母でもあり、鍼灸には度々お世話になってきました。慢性疼痛、急性疼痛、陣痛促進や産後の痛み等々に対応してもらってきました。 現代の西洋医学は科学的裏付けを基盤としています。 薬の有効性を評価するためには、どれだけの人の病気に効果があったか、あるいは副作用があるかというデータが使用されます。そういう視点からも、鍼灸は何より長い歴史の中で、とんでもない数の人々に使用され、効果が認められているという点で、自分にとっては敷居の低い医療行為でありました。しかし、色々な鍼灸院を経験すると、それぞれの流派や作法があり、鍼灸と一括りにはできず、学問として体系的であることや、行う施術の効果や副作用へのアプローチがかなり異なるという事実に気が付きました。
永田亮太先生との出会いは、定期的に仕事に赴く帯広の北斗病院でした。北斗病院内で鍼灸を疼痛管理の一つの医療行為の選択肢として施行するプロジェクトを耳にしました。素晴らしい試みだなと思い、永田先生方がどのような姿勢で治療をおこなっているのか、あるいは自分にも試してみてどのくらい効果を感じるかに大変興味があり、足を運びお話を伺いました。
永田先生は、痛みや違和感が存在することを客観的にそれでいて体系的に捉え、針や灸に伴う、恐怖心を含む小さな副作用も考慮し施術に当たられていました。実際に何度も体験させていただきましたが、今までの針治療とは全く異なる治療効果が、短時間で得られました。私は主観的な評価は医療行為に必要な大事な要素と考えていますが、世の中は残念ながら、それだけでは認めてくれず、目に見える結果での報告を求めます。しかし北斗病院での上述した研究は驚くべき有効性が確認されており、近日中にこの結果が論文として発表される予定です。
永田先生をはじめ、その研究に参加されている先生方はいずれも痛みのみならず、人の生活や気持ちにも、優しく寄り添うような治療をされており、医療人として心から尊敬しています。一人でも痛みと戦う人が、そのような素晴らしい技術と人間力をもった施術が受けられ、生活がより明るくなるように、同じ医療関係者として心から願っています。