突発性難聴・耳鳴りの症例
症例4 再発をくり返すメニエール病、消えない耳鳴り
患者
女性 40代
来院
2018年7月
症状と来院理由
15年前に「メニエール病」を発症。その後、寒い時期に数回再発を繰り返している。
今年の2月に再発し、めまい・難聴・耳鳴りの症状が現れ耳鼻科を受診。
薬・点滴を処方され、めまい・難聴は改善したが、耳鳴りが残存する。医師に「耳鳴りを治す薬はない」と言われ
悩んでいたところネットで当院を見つけ受診する。
治療経過と内容
左右の耳に「キーン」とする耳鳴りがあり、右耳の音の方が大きく聞こえるとのこと。
耳鳴りは、肩甲骨・首の筋肉の硬さに問題があることが多い。
いつも左肩がつらく感じ、首も動かしずらいとのこと。触診すると肩甲骨内縁の上部と右側の頚部が硬く緊張していた。
そこで、肘と手、足のツボに鍼施術を行うと緊張が緩んだ。次に右側の頚部に硬さがみられた為、足と臀部に鍼を行うと「少し右耳の音が小さくなったかも」とのことで1診目を終えた。
2~5診目は、左右の耳鳴りの高い音から低い音になり、小さくなったとのこと。背中全体が張っている為、お尻のツボを使い同施術を行った。6~7診目「キーン」という音から「サー」というおとになり、入浴中などの無音の際にしか、音を感じることがなくなったとのこと。8診目日常生活で耳鳴りが気になることがなくなる。再発予防のために定期的に通院されいる。
同時に治療した症状
肩こり
使用した主なツボ
曲池L、陽輔L、胞肓L、築賓R、僕参R
考察
肩甲骨の周りが硬くなることで、首の動きが悪くなっていくと共に首の筋肉が緊張する。その影響で内耳への血流が悪くなり、耳鳴りを発症した症例。肩甲骨の動きが良くなることで首の制限がなくなり、筋肉の緊張が緩むことで耳への血流が良くなり耳鳴りが改善された。
症例3 水中にいるような耳のつまり、低い音が聞こえずらい
患者
女性 27歳
来院
2018年6月
症状と来院理由
6月25日より、水中にいるような耳のつまり感と「サー」っという耳鳴りがあらわれ、右耳の聞こえが悪くなった。
歯科衛生士をしており、仕事が忙しくストレスをいつもよりも多く感じていた。
耳鼻科を受診し、突発性難聴と診断がありアデホスコーワ、メチコバールを処方される。
耳の症状に変化がなく以前、背中の痛みで通院していたことがある当院を思い出し7/10に受診した。
治療経過と内容
耳の症状と関連が強い顎の緊張が強くみられる。
本人に顎の症状を聞くと、少し前から噛み合わせが悪く感じるとのことだった。
そこで、顎の緊張をとるため手のツボに鍼治療を行いゆるめる。
また、首と背中、股関節にも緊張があったため足と臀部のツボに鍼治療をした。
直後より耳のつまり感が10→5に減少し、顎の噛み合わせの違和感も消失。
7/14 耳のつまり感消失。耳鳴り10→4に減少、音は聞こえずらいとのこと。同治療を行う。
7/17 朝につまり感が時々あらわれるがすぐに消える。耳なり10→2に減少。聴力も回復しているように感じるとのこと。同治療を行う。
7/28 病院で検査を行うと聴力は回復していた。若干、耳鳴りは残存するとのことで足のツボに鍼治療を行い、日常生活では気にならないとのことで治療を終えた。
同時に治療した症状
肩こり、背中の痛み、股関節痛
使用した主なツボ
申脈R、養老R、僕参R、上秩辺R、承山R
考察
歯科衛生士という仕事柄、口を覗く姿勢が多く、仕事量が増えることで首、肩が普段よりも緊張する。それに加えて、その姿勢が長く続くことで足→股関節→背中→肩→首→顎と連動して筋肉に負担がかかり最終的に耳周囲が硬くなる。その影響により内耳にいく血流が悪くなり突発性難聴を発症した症例。耳周囲の筋肉の緊張が緩むと共に症状が改善された。
症例2 ザーッとなる耳鳴りと回転性めまい
患者
女性 30代
来院
2018年6月
症状と来院理由
仕事の忙しさと5歳の子供の世話で疲れ、強い後頚部の硬さと肩の張りを感じはじめる。2ヵ月前から回転性のめまいと右耳の耳鳴りが現れるようになった。
朝が特にザーッと聞こえる大きな耳鳴りと時々キーンとする耳鳴りがする。また、頭を下から上へむける動作をすると視界がクルクルと周りだす。
そこで、耳鼻科を受診し、「メニエ―ル」と診断され、アデホスコーワ顆粒10%、メチコバール錠0.5㎎、メニレット70%ゼリー30g、コンスタン0.4gを処方される。
薬を飲んでも耳鳴りとめまいに変化がなく、他の病院を受診。効果が感じられず困り果てて、ネット検索当院を受診。
治療経過と内容
首、肩、顎を触診すると、右の咬筋(顎の筋肉)と頭のつけ根、肩甲骨内側に強い筋肉の緊張を感じた。そこで仙骨、手、足、肘にあるツボに鍼治療を行った。手にした鍼の後に耳鳴りが少し小さくなったとのことで週2回の通院を提案し、1診目を終えた。
<2~3診目>
常時する耳鳴りが10→5、めまいは10→6に減少。朝の耳鳴りは変わらず、大きな耳鳴りがするとのこと。
同治療を行った。
<4~7診目>
同時に治療した症状
肩こり、頭痛
使用した主なツボ
下髎R、水泉R、養老R、外谷R、築賓R、曲池R
考察
めまいと耳鳴りは首と顎の筋肉が緊張するこで起こることが多く、朝の強い症状は夜に強い噛みしめがあることで、顎から首の筋肉が緊張し現れているのではないかと考え治療を行った。顎、首の緊張がとれるとともに症状が減少していった症例。
症例1 突発性難聴、キーンと耳鳴りがする
患者
女性 40代
来院
2017年11月
症状と来院理由
前日に右耳に違和感を感じ、仕事終わりに歩いていると、キーンっと高い音の耳鳴りを感じる。
以前も同じように耳鳴りを感じていたことはあったが気がづくと耳鳴りは消えていた。
しかし、次の日も音が消えることはなかった為、心配になり耳鼻科を受診。
検査で異常はなく、右耳に聴力の低下がみられたため「突発性難聴」と診断された。
ブレドニン、アデホスコーワ、メコバラミン、レバミヒド 、イソソルビドを処方される。
3週間ほど飲み続けたが、聴力は少し良くなったものの耳鳴りに変化がなかった。
このまま良くならないのではと不安になりネット検索したところ
突発性難聴に鍼治療が効果があると知り当院を受診。
治療経過と内容
耳の症状と関りが強い首、顎、肩の筋肉に触れると
症状のある右側全体が硬く緊張していた。
そこから細かく触診すると首と肩甲骨、顎の後ろにコリがみられた。
コリを緩めるため手、肘、足のツボに鍼を打ち10分ほど置鍼を行う。
コリが小さくなり、右側の首~肩が全体的に緩んだ。
若干ではあるが耳鳴りが小さくなったとのことで週2回ほどの間隔で通院することを提案し、1診目を終えた。
※病院での治療は継続するよう説明。
<2~3診目>
足のツボを変更し、同治療を行った。首のコリが消失。
耳鳴りは小さくなるものの耳鳴りがしているとのこと。
<4診目>
病院での検査で、聴力は正常の数値に近づいてきておりとのこと。
前回に加え、背中のツボに鍼治療を行った。
<5診目~8診目>
聴力は正常値まで回復し、耳鳴りが高い音から低い音に変化。
手のツボを変更し治療を行った。
<9診目~15診目>
同治療を行い、耳鳴りが気にならなくなったとのことで治療を終えた。
同時に治療した症状
肩こり、顎の痛み、頭痛
使用した主なツボ
三陰交LR 曲線LR 僕参R 太衝R 外谷LR 養老R 曲池R 六谿R T1(2.5)R
考察
発症から1カ月以内で治療を行えたことで、聴力が数回の治療で順調に回復したと考えられる。
側頭部から首にかけての緊張が強かったが、この硬さが取れるとともに耳鳴りの音が変化し、小さくなっていった。